先日スーパーで野菜を買おうと思って物色していると、とってもユニークなスナップエンドウに出会いました。
そのパッケージには、
私たち寒くて
しもやけになりました。
と書かれていたのです。
思わずクスっとなりましたし、少し値段も抑えられていたこともあり、買い物かごに入れることにしました。
今回はこのような、農家が廃棄野菜を少なくするための取り組みについて紹介します。
もったいない食品ロスを防ぐ訳あり野菜の販売と廃棄野菜
食品ロスという言葉を聞いたことがありますでしょうか。
農林水産省によると、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことを言い、日本では年間570万tという大量の食料を廃棄しています。
しかし、この食品ロス。
実は、規格外として市場などに出荷できず、売られる前に捨てられてしまった野菜については、一切計算に含まれていません。
実際にスーパーなどで売られた食品のみが、捨てられている量が年間570万tというだけで、売られずに畑などに捨てられる農家の手元に残った本来食べられるのに捨てられてしまう食品については無視されているのです。
こうした統計上、計算に含まれていない食品ロスのことを、隠れ食品ロスと呼んでいます。
規格外野菜で発生する隠れ食品ロスを減らす取り組み
規格外野菜で売ることが出来ずに、本来食べられるのに捨てられてしまう食品。
こうした、隠れ食品ロスを減らす取り組みとして、先ほど紹介したスナップエンドウのような販売方法で、減らす取り組みがなされています。
いわゆる、ワケアリ商品として販売するという方法。
形や色や大きさが規格外であっても、野菜は変わらず美味しく食べることが出来ます。
ただし、ちょっと見た目が他とは違うだけ。
こういった野菜を捨ててしまうのは、とても、もったいない事ですよね。
なので、冒頭のスナップエンドウは、どうしてこの見た目になったかをシールで表示して、消費者であるお客さんに安心して買ってもらえるよう、工夫を凝らしているのです。
食品ロスとは:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
地域ぐるみで廃棄野菜を食品ロスを削減する埼玉県東松山市
食品ロスを減らす取り組みを地域ぐるみで行っている埼玉県東松山市は、とても素敵だなと思いました。
食品ロスを減らすために活動しているベンチャー企業と鉄道会社、地元大学が協力したTABETEレスキュー直売所という取り組み。
東松山市周辺の農産物直売所で販売されていた、営業時間内に売れ残ってしまった野菜を電車を使って集めて、ちょうど帰宅時間になる午後6時半から午後8時半までの間、TABETEレスキュー直売所で販売しているのです。
この活動によって、月に3~4トンの食品ロス削減が実現できたんだそう。
この取り組みが日本全国に広がれば、もったいない食品ロスを減らし、農家の生活も潤い、消費者も新鮮な野菜を容易に手に入れることが出来るようになりますよね。
生産者と、消費者と、食品ロス削減と、win-win-winな三方良しの関係が広がれば、とても素敵な国になりそうです。
地域の連携で廃棄野菜を救う:さいたま放送局
https://www.nhk.or.jp/shutoken/saitama/article/001/77/
訳あり野菜を低価格で販売するのには少し疑問を感じます
さて、ここからは経済のお話。
訳あり野菜を安くで購入することが、本当に農家にとって助けになるのかという疑問です。
通常農家は市場に出荷するために、規格内に収まるか規格外に外れてしまうかを選別する作業があります。
規格外になってしまった野菜は、そのまま廃棄というのが通常の流れです。
しかし、もったいないからといって廃棄せずに販売しようとすることで、余計に労働が必要になります。
訳あり野菜は、販売して問題ない品質である野菜と、だれがどう見ても食べると問題が起きそうな野菜とに、さらに選別が必要になります。
そして、販売しても問題ない野菜を選別した後は、通常の規格内野菜と同じように梱包し、訳ありであることを表示したシールなどを張る作業が必要です。
また、訳あり野菜は規格外ですので、規格内野菜よりも安くで販売する必要があります。
なぜなら、同じ値段であるならば規格内野菜を消費者は買いたいと思いますし、そうなれば結局訳あり野菜は売れ残ってしまい廃棄することになるからです。
くわえて、こうした訳あり野菜を販売するためにかける労働に対しても、従業員の人件費が必要になってきます。
つまり、訳あり野菜を販売するために、余計に経費が掛かるのに、販売価格は下げなければならないため、利益は減る。
訳あり野菜を販売すると、生産者である農家の時間当たりの収入が、大きく減るという事なのです。
訳あり野菜を安い価格で販売するのは、食品ロスを減らすため自然環境には良いかもしれませんが、生産者である農家には痛みを伴う取り組みである可能性があります。
これでは、とても持続可能な開発目標とは言えないのではないでしょうか。
なので、訳あり野菜を低価格で販売する取り組みには、少し疑問を感じてしまうのです。
あなたは、どう感じますでしょうか?