平成22年の統計によると、
日本の農家総数にたいして、有機jasの認定を受けて有機農業を営んでいる農家数は、
たった0.2%しかいないのです。
いざ有機農家を始めたものの、辞めてしまったり規模を縮小する方もいて、なかなか広まりません。
つまり、化学肥料や農薬を使って育てられた野菜が、そこかしこで売られているということができます。
ではどうして、有機農家は増えないのでしょうか。
それは、労力がかかる割に利益に結び付かないから、というのが理由なのです。
日本の有機農家はたった0.2% 日本の国産野菜は安心安全ではないのかもしれない
農林水産省のホームページに掲載されていた、有機農業をめぐる事情によりますと、
- 労力がかかる
- 収量や品質が不安定である
- 期待している販売価格水準でない
といった理由で、有機農をいとなむ畑を縮小してしまうのだそう。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
農林水産省のホームページに掲載されていた、
有機農業をめぐる事情 を参照
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/attach/pdf/meguji-full.pdf
有機農業は労力がかかる
有機農家は、有機農産物の日本農林規格(有機JAS)の認証を受けて、認定されて初めて名乗ることを許されます。
- 周辺から使用禁止資材が飛来しまたは流入しないように必要な措置を講じていること
- 播種又は植え付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬をしないこと
- 組み換えDNA技術の利用や放射線照射を行わないこと
といった、厳しいルールを守り、規則を守っていることを証明するために、作業をするたびに決められた書式に則って記録を残さねばなりません。
しかも認証を受けるため、畑や田圃ごとに費用が必要になります。
さらに、第三者による審査なので、審査員の交通費、場合によっては宿泊費なども農家が負担しなくてはなりません。
そして、毎年認証を受けることが求められています。
さて、厳しい認定検査をクリアし、無事に有機農家を名乗ることが許されたとします。
そこからは、自然との闘いが始まります。
除草剤などの農薬を使うことが制限されているので、雑草や害虫との闘いが熾烈を極めるのです。
確かに、有機作物は、一つ一つの単価が高く、利益が多くなるような印象を受けますが、日々の記録や雑草との戦いにより作業量自体は増えます。
その結果、自給で利益を割ったときに出る自給換算では、有機農家とそうでない農家とを比べた時、有機農家のほうが所得が低くなる傾向にあるのです。
いじょうのことから、有機農家になるための労力と、有機農家であり続けるための労力が、意外と重いのです。
収量や品質が不安定である
化学肥料は、有機肥料に比べて、効果の高さと即効性が特徴です。
農薬は、野菜につく害虫や病気の対策を、簡単にできるのが魅力。
しかし、有機農家は、化学肥料は使うことを禁じられていますし、農薬も使用には厳しく制限がかけられています。
そのため、一般的な慣行農家と比較して、有機農家は野菜の収量と品質が不安定になる傾向にあります。
大量に安定的に、野菜を育てることが難しいのです。
そのため、農業収入が不安定になり、金銭的な面だけではなく精神的にも苦しい思いをするケースが出てきてしまうのです。
期待している販売価格水準でない
さて、苦労に苦労を重ねて、有機農家は野菜を育てます。
しかし、野菜を商品として売ることになっても、なかなか高い値段をつけることができません。
なぜなら、高い野菜など、スーパーや直売所では、買ってもらえないからです。
想像してみてください。
スーパーの野菜の並んだ棚に、2種類のほうれん草が売られていたとします。
ひとつは普通のほうれん草、1パック198円
もうひとつは有機野菜のほうれん草 1パック298円
普通のほうれん草のほうが、きっと売れるのではないでしょうか。
せっかく大変な思いをして、有機野菜を作ったのに売れ残ってしまう。
これでは、なかなか有機農家が増えないのも、致し方ないのかもしれません。
以上、日本の有機農家はたった0.2% 有機農家が増えない3つの理由についてお話してきました。
- 労力がかかる
- 収量や品質が不安定である
- 期待している販売価格水準でない
という3つの理由から、なかなか有機農家が増えないという現状があります。
かくいう私も、有機農家になるためのJAS認定を受けていません。
金銭的なコストもそうですが、認定を維持するための作業の負担、どれだけ狭くても畑ごとに認定が必要など、敷居が高いのです。
また、播種又は植え付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬をしないこと、とあるように、2年以上は栽培記録が必要になるので、新規就農したばかりでは認定が下りません。
最低2年は農業に従事していないと、そもそもjas認定を受けることができない仕組みなのです。
日本の有機農家はたった0.2%ですが、認定を受けてはいないが有機農業を実践している農家は0.3%ほどいると国は認識しています。
このことからも、有機農業に魅力を感じてはいるものの、jas制度を利用していない農家は、結構いるようです。
それでも、有機農家は合わせて0.5%しかいません。
日本は、農業的に先進国とは言えないのかも、しれませんね。