農業関連本

自然農法の書籍、わら一本の革命、あらすじと感想

わたしが、自然農法を知ったきっかけは、とあるyoutubeの動画でした。

動画で自然農法について、詳しくわかりやすく説明していてくれたのですが、提唱者が実際にどのような方法でもって、実践していったのかが知りたかったので、書籍を読むことにしたのです。

この記事では書籍、わら一本の革命に書かれているあらすじをご紹介していきます。

自然農法の生みの親とその軌跡

筆者の福岡正信さんは、もともと植物検査課で植物の検疫や病気の研究をしていました。

しかしある時、急性肺炎になってしまい、大変な目にあいます。

その後帰郷し、いかに何もせずに実家のミカンを栽培していくかに注力していったのです。

第一章はこんな感じの、筆者の歴史をひもとく部分です。

はたからは、研究者という立派な職に就き順風満帆なように見えた筆者の人生でしたが、とうの本人はモヤモヤとわだかまりを持っていた。

私自身は安定気質と言いますか、現状を維持したい派と言いますか、変化を受け入れたり自分から変わっていこうと考えたり、あるいは変えていこうという気持ちが湧きにくい傾向にあります。

なので、筆者の問題や疑問を解消すべく突き進む姿は、とても逞しく映りました。

これで本当に良いのか、もっとなにか改善できないのか。

これまで良しとされていた慣行農法に疑問を抱き、よりよい方法はないのか模索する。

筆者の研究者としての魂が、自然農法を生み出した根源なのかもしれません。

誰にでも実践できる自然農法の解説

第二章では、実際に筆者が実践する自然農法の解説です。

筆者の提唱する自然農法の4大原則、不耕起/無肥料/無農薬/無除草について書いてあります。

ですがこの書籍、挿絵がほとんどありません。

文章だけでの解説だと思っていただいて、支障ないと思います。

なので、理解するのにかなり苦労したり、理解していたと思っていても、筆者と解釈のずれが生じる可能性があります。

かくいう私も、完全に理解できているかといわれると怪しいです。

なので実践ということになると、ほかの書籍も併せて購入したほうが、理解が進むと思われます。

ですが、自然農法の根本と言いますか、おおもとの部分は、確かに伝わってきます。

慣行農法がいかに環境に影響を与えているか

第三章では、これまで自然農法についての話で進んできましたが、一転して慣行農法へと話が移ります。

慣行農法が自然環境に対して、どのような影響を与えているかの解説です。

慣行農法の推進が自然環境だけではなく、農家と消費者のどちらにとっても良い結果をもたらさないというのが印象的でした。

農家は苦労が増える割に利益が減る。消費者は食べる価値の少ない作物を高額で買うことになる。

双方が損をしているのに、変わらない。変われない。

このカラクリを解説している章です。

なんとも皮肉な話ですが、生産者と消費者、双方がお互いに気づかないうちに、良かれと思って苦しめあっている。そんな光景でした。

ははぁ、これはなかなか、改善しそうにないなぁと思いつつ。私が自然農法を取り入れて、すこしでも解決の一助になれたらなと思います。

あなたも家庭の庭先で、ちょこっと自然農法を取り入れてみませんか。

自然農法を実践していくなかでの風景

第四章からは、筆者が就農してからの日常風景が語られています。

私の目からは、とても日常とは思えないような哲学的なテーマが次々と書かれていて、巷ではこの本は農業本ではなく哲学書であると評されているのも納得の内容でした。

自然農法の実践について知りたいと本書を手に取った方からすれば、あまり学ぶところのない内容なのかもしれません。

ですが、筆者の生きざまというか、哲学というか、思想というか。思考の中を垣間見るような、魂の在り方が伝わってくるような話が書かれています。

この章の中に、書籍のタイトルにもなっている、わら一本の革命というお話があります。

筆者のもとを訪ねてきた若者に、

「革命というものは、このわら一本からでもおこせる」

と言うのです。

わら一本を大事にした若者が長者になったり、国内の麦栽培が下火になったため水田の栽培効率が低下したり、さらっと重要なエピソードを絡めつつ、訪ねてきた若者=1本のわらと表現しているのだろうと思います。

若者自身に、自分の価値を自覚してもらって、あなた一人の力でもきっと革命を起こすことができるのだ。と、筆者は伝えたかったんじゃないかなぁと思います。

ジンワリ心温まるエピソードで、私は好きです。

筆者の元を去る若者に対する姿勢というか、生き様というか、シブいなぁ。。。

自然農法と自然食、食生活について

第五章では、自然食について解説している章です。

自然食をするなら身近な旬の食材を食べよう。

ざっくりと解説するとこういう内容です。

玄米、菜食、一汁一菜。自然のサイクルに合わせて、自然に寄り添った食事を心がけるだけで、おのずと美味しく健康な食生活がおくれるという筆者。

スーパーやデパートの野菜売り場で並んでいる野菜は、季節を問わず様々な種類の野菜が豊富にそろっています。

トマトやナスなど、本来は夏野菜のはずなのに、真冬でも普通に売っていますよね。

旬を外れた野菜は、味や栄養価が旬のものと比べて劣っているのに、生産コストが高く価格が高騰する。旬を外れた野菜を化学の力をかりて栽培する生産者も、設備投資やメンテナンスに労力を割かなくてはならないし、お金もかかる。

第三章で書かれていたような、文明が進んで便利になったばかりに、農家と消費者どちらもが大変な目にあっている典型例だなと思いました。

夏は夏の野菜。冬は冬の野菜。

自然食は、簡単なように思えて奥深いようです。

諸外国との競争ではなく日本の強みをいかす農を

追章として、筆者のアメリカ旅で得た気づきについて書かれていました。

昨今、日本の農業では、スケールメリットを活かした大量生産や効率化が重要視されているように思います。

もちろん、それが悪いわけではなく、利益を十分に上げている農家さんがたくさんいらっしゃるのも事実です。

ですが、日本の国土はアメリカや中国などの諸外国に比べてとても狭い。故にスケールで勝負していては外国と競争になった場合、じり貧になるのは目に見えています。

しかもスケールメリットを維持するために、電気や石油などの有限な地球資源を大量に消費する。エネルギー資源の価格はどんどん上昇し続けています。資源は有限ですし文明が進むにつれ、消費量も増加しているのだから当然です。

農業はエコな産業であると、いろいろ勉強する前は私も思っていましたが、知れば知るほど環境に負担をかけている、「工業」の一種なのだと思い知らされています。

ほんとうにこのままの農業でいいのだろうか。

自然に寄り添う、自然と共に歩む農業。

私が目指したいのは、そこなのです。

ABOUT ME
のっち
のっち
私は、鹿児島県志布志市にある畑で営農している個人農家です。 無農薬、無肥料、不耕起、無除草栽培で、安心安全で美味しい野菜は当たり前、環境にも優しい農業を目指しています。