野菜と健康

マクロビオティックの身土不二と一物全体について

マイクロビオティックという言葉を聞いたことがありますか?

マクロビやマクロ、マクロバイオティックといった呼び方もされることがあるのですが、マクロ(macro)とビオティック(biotics)とを合わせた造語で、健康的に長く生きましょうという意味で使われており、食事法やものの考え方をこう呼んでいます。

  • 一物全体
  • 身土不二
  • 陰陽調和

これらの三大理念を柱に持っており、現在ひろく普及している食育とも深く関係している側面もあり、健康寿命を延ばすために、是非とも取り入れてみてほしい思想です。

マクロビオティックについて

もともとは18世紀ごろにドイツではじまった健康法でした。

野菜や穀物は、実以外にも根や葉を余すことなく食べることで健康的に過ごせるという意味合いの、一物全体。

人の健康とその地は切っても切り離すことが出来ないという意味合いの、身土不二。

この2つの理念でもって広まっていたようです。

しかし大正時代に日本で広まる過程で、食材によって体を温めたり(陽)冷やしたり(陰)することから食物に関する陰陽論を取り入れ、陰陽調和という理念が追加されたことで、現在の三大理念によるマイクロビオティックが作られました。

一物全体、食材を丸ごと使うことで健康的に

一物全体とは、もともとは仏教用語で、

ありのままの姿で分割されていない状態のこと。

マイクロビオティックでは、穀物を精白せずに白米ではなく玄米を食べたり、野菜の皮をむかずに食べたり、大根やニンジンも葉まで食べたりすることを意味します。

特に大根やニンジンなどの根菜類は、葉にたくさんの栄養素が含まれています。

大根はむしろ、白く太った根の部分よりも、葉っぱの方がビタミンやミネラルといった栄養素がたっぷり入っているのです。

そのため、食材を丸ごと使う一物全体の考えを取り入れ、野菜を余すことなく食べることで、より健康的な生活をおくれるようになるはずです。

身土不二、地元の旬の食品や伝統食が良い

身土不二とは、もともとは仏教用語で、

  • 身:今までに行ってきた行為の結果と
  • 土:その身がよりどころにしている環境は
  • 不二:切り離すことが出来ない

という意味を持っています。

このことから、マイクロビオティックでは、

  • 身:今までに食べてきた食材と健康状態
  • 土:その身がよりどころにしている地元の環境は
  • 不二:切り離すことが出来ない

という考え方を見出し、地元の旬の食材で作った伝統食が、健康に良いとする考え方をします。

現在の農業界で言われている地産地消と同じような意味合いですが、地産地消はもともと農林水産業を活性化させ地域の雇用を確保するために考え出された、健康というよりは経済を優先した考え方。

さらに、地産地消では、ビニールハウスなどで育てられた旬の食材以外も食べることが含まれていたり、植物工場などで製造された農産物も含まれます。しかし、伝統食についても特別言及されてはいません。

自然や健康を重視した身土不二と、経済を重視した地産地消とでは、地元の農産物を珍重するという意味合いは同じですが、その思想には大きな違いがあります。

陰陽調和で、体を温めたり冷やしたりしてバランスをとる

最後に陰陽調和について。

食べ物の中には、トマトやスイカのように食べると体の体温を下げてくれる性質のものがあり、これらを陰性と呼びます。

逆に、ニンジンやショウガのように食べると体の体温をあげてくれる性質のものがあり、これらを陽性とよびます。

そして、そのどちらでもない、または調理法によって性質の変わるものを中庸と呼びます。

季節や、体調に合わせて、自身の体温をコントロールするために、陰陽の調和を考えて食材を選択することで、健康に過ごすことが出来るという考え方。

例えば、夏に暑くて倒れそうなのに、生姜湯を飲もうなんて思いませんし、健康にも良くありません。

逆に真冬の寒くて凍えそうな夜に、体を冷やすトマトやスイカなどを食べたりすると、たちまち体調を崩してしまう事でしょう。

また、私たちの体は体温が1℃上がるだけでも免疫力が5~6倍ほどに上がり、逆に1℃下がるだけでも免疫力が3割程度低下してしまうと言われています。

暑い季節になったとしても、体温の下げ過ぎは体に良くないので、暑いからと言ってスイカやトマトの食べ過ぎなど、体を冷やしすぎないよう気をつけたいところです。

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のっち
のっち
私は、鹿児島県志布志市にある畑で営農している個人農家です。 無農薬、無肥料、不耕起、無除草栽培で、安心安全で美味しい野菜は当たり前、環境にも優しい農業を目指しています。