畑や田んぼに雑草が生えていると、本来育てようと思っていた作物が吸収するはずだった栄養が雑草に奪われ、野菜やお米の生長が悪くなってしまうのではないか?
という質問を頂くことがありましたので、私なりの考えを紹介したいと思います。
雑草は野菜と養分を奪い合うことは無い。
ではどうしてそんなことが言えるのでしょうか。
それは、植物は土中の栄養を根から吸収しているからなのです。
雑草が生えていると野菜の栄養を奪い生長を阻害してしまう説
ありのファームでは、雑草を除草剤などで枯れさせたり、土を耕すことで除草したり、むやみやたらに雑草を刈り取ったりということはしていません。
そうすると、自然と畑一面が緑に染まり、野菜とそのほかの植物が入り乱れ、畑なのか野原なのか耕作放棄地なのか、パッと見ただけでは良くわからないことがあるかもしれません。
こちらの写真は、ありのファームがFacebookに投稿した、ある日の畑の様子です。
ホトケノザやナズナ、ハコベなどに囲まれて元気にニンニクが育っている様子です。
これだけ様々な雑草に囲まれて野菜を育てていると、時々頂くのがこのような質問。
- 畑や田んぼに雑草が生えていると、本来育てようと思っていた作物が吸収するはずだった栄養が雑草に奪われ、野菜やお米の生長が悪くなってしまうのではないか?
この質問には次のようにお答えしています。
雑草は野菜と養分を奪い合うことは、ありません。
では、どうしてこのようなことが言えるのでしょうか。
植物は根っこから土の中の肥料を吸い上げている
植物の構造から考察してみると、野菜と雑草は養分を奪い合っていないということがわかります。
植物は根から土中の栄養分を吸収しています。
![土中の断面図](https://arinofarm.com/wp-content/uploads/2022/03/zukaine.jpg)
もしも図1のように、野菜だけが畑で栽培されていたら、野菜の根が届かない場所の肥料はそのまま土の中に残ったままです。
野菜だけでなく、雑草も生えている状態が、図2の状態。
根っこの張り方を見てみても、野菜と雑草が栄養を奪い合っているようには見えません。
しかし、図3の状態になってくると、状況が変わります。
aの根が吸っている肥料を、bの根が狙っている状態です。
こういう状態に陥ってしまうとaの生長が阻まれ、bの勢いに飲まれて次第に衰え枯れてしまいます。
基本的に根と地上部分の大きさは比例して生長しており、地上部を観察してみて、aの光合成が妨げられるような状態になっていたら、bの勢いを抑える工夫が必要になってきます。
しかし、この状況であってもbがaの養分を奪っているわけではないのです。
光合成を妨げて地上部の生長を妨害し、根の生長を遅らせ、肥料をこれ以上吸えない状態に追いやっているだけなのです。
雑草が野菜の栄養を奪っているのではなく、これ以上栄養を吸えないようにしているだけ、というのが正しい解釈であると考えています。
つまり、栽培している野菜が十分に光合成をしている様子であれば雑草を刈り取る必要はないのです。
畑に植え付けたり種をまいたばかりなど、栽培初期には図3のような状態に陥りやすいので、畑の様子を特に気にかける必要があります。
雑草を生やしていると素敵なメリットがあるんです
でも、やっぱり雑草が生えていると、図3のような状態になるリスクもあるんでしょ?
だったら、雑草をはじめから生えないようにしておいた方が、良いんじゃないの?
という疑問をお持ちのあなた。
雑草を生やしておくと、こんなメリットがあるんです。
![](https://arinofarm.com/wp-content/uploads/2021/12/krb-320x180.jpg)
ありのファームでは、こうした自然の恵みを活かして農薬や化学肥料、動物性有機肥料に頼らない農業に取り組んでいるのです。