畑の土をよくする土壌改良剤の中に、炭があります。
炭は、木や草などの有機物を燃やして炭化された物質で、炭素が多く含まれた固形物。
日本では平安時代から、燃料として私たちの生活に役立てられていました。
現代社会でも、アウトドアで利用されたり、消臭剤として家庭で利用しているところもあるようです。
炭の特徴として、
- 多孔質である
- アルカリ性である
- 農業廃材から生産できる
といった特徴から、畑の土壌改良に利用されています。
では、どうして炭が畑の土をよくすることが出来るのでしょうか?
それは、炭が微生物にとっては高級マンションで、植物から見れば栄養豊富なご馳走だからなのです。
炭を土に入れると畑が良くなる炭の土壌改良効果について
炭は、木や草などの植物に含まれる有機質が、高温で燃焼されて炭化した物質です。
主な構成元素は炭素。
そして、炭の原料になった木や草などの有機物に含まれていた、カリウムやカルシウムなどのミネラル類が含まれています。
炭の構造は多孔質と呼ばれる形状をしており、目に見えないような細かな穴が無数に空いています。
そのため、たった1gの炭であっても、その表面積は数百平方メートルあります。
炭の表面は、炭化された時の温度によって表面のPHが変化する性質を持っており、温度が低いほど酸性に、逆に温度が高いほどアルカリ性に傾く性質を持っています。
炭の内部には、カリウムやカルシウムなどのミネラル類が含まれているため、水に浸した時などに抽出される内部成分の影響で、アルカリ性に傾きます。
また、炭は負の電荷を帯びています、俗にいうマイナスイオンと呼ばれるものです。
多孔質な炭は微生物にとっては高級マンション
炭の表面には、目に見えない無数の穴が開いています。
こういう形状のことを多孔質と呼びます。
この無数の細かな穴は、微生物にとってはとてもよい住みかとなります。
炭はほとんどが炭素で構成されているため、微生物によって自然に分解されることがほとんどありませんので、長年住み続けることが出来ます。
また、炭には通気性があり、排水性や透水性にもすぐれているため、活動に空気が必要な微生物にとって、とても優れた住環境を提供してくれるのです。
つまり炭は、微生物にとっては高級マンションと言えるのです。
アルカリ性をもつ炭は植物から見れば栄養豊富なご馳走
日本の多くの土は、酸性に傾いています。
これは、日本では降水量が多く、また降ってくる雨が酸性に傾いているためであると言われています。
また、降ってきた雨によって、土に含まれているアルカリ性を持つミネラルが流出してしまうことも原因として考えられています。
そのため、炭を土に入れることで、酸性が炭の持つアルカリ性によって中和され、植物によって育ちやすい環境を整えることが出来るのです。
炭の内部には、カリウムやカルシウムなどのミネラル類が含まれています。
このミネラル分は、降雨や潅水によって、土の中に流出します。
こうしたミネラル分は植物の生長にとって良い肥料分として活用されます。
また、炭は微生物にとって住みやすい環境を整えてくれるので、微生物の活動が活発になり、植物との共生関係も強固になり、植物がより健康的に生長するようになります。
そのため炭は、植物から見れば栄養豊富なご馳走と言えるのです。
炭は農業廃材から生産することが出来てエコ
炭は、農業廃材から生産することが出来ます。
林業で発生する間伐材や、果樹栽培で発生する剪定枝、農業で発生する植物残渣など、農業を営む上でどうしても出てきてしまうのが、こうした廃材です。
その廃材を炭に加工することで、廃棄にかかるコストを大きく減少させつつ、有効活用できる資源へと変えることが出来るのです。
果樹栽培が盛んなところでは、すでに炭の土壌改良効果に着目した、環境に配慮した取り組みが始まっています。
地球にも農業にもやさしい資源の炭は、これからの農業に大きく役立ってくれるのではないでしょうか。