野菜を育てるために使われている化学肥料について考えたことがありますか?
野菜を育てるための3大栄養素として、窒素/リン酸/カリウムとう肥料成分があります。
実はこの肥料を作るための原料は、ほとんど輸入品で賄われているのです。
- 野菜を育てている化学肥料の原料は多くが輸入品だより
- 特にリン酸は国内生産ができず輸入に依存しているのが現状
- アメリカでは輸出が制限され中国も国内需要優先で手に入りにくくなっている
- 肥料の値段が高騰しており今後野菜の値段の高騰も予想される
- 肥料の原料が手に入らなくなれば野菜の生産量が減り輸入だよりになるかもしれない
いまの日本では、こんな未来が懸念されているのです。
今後ますます野菜の値段が上がり食料自給率が下がるかもしれない話
現在の農家の多くが、化学肥料を使った農法で野菜を栽培しています。
ですが、日本は国土が狭く、地下資源にも乏しいため、化学肥料の原料である鉱石や天然ガスなどの多くを、輸入品で賄っているのが現状です。
- 窒素肥料を作るために、尿素を中国やマレーシアなどから輸入しています。
- リン酸肥料を作るために、鉱石を中国やヨルダンなどから輸入しています。
- カリウム肥料を作るために、カナダから原料を輸入しています。
日本では、時代が進むにつれて、人口減少による必要な食料の減少、それに伴う畑などの耕作面積の減少、農業の技術革新で必要な肥料の量を減らす工夫の実施などで、需要は減りつつあります。
しかし世界を見渡してみると、原料の埋蔵量低下や、地球規模での人口増加、経済発展による食生活の変化に伴う需要の変化などの理由で、肥料の原料が高騰してきているのです。
野菜を育てている化学肥料の原料は多くが輸入品だより
野菜の肥料成分には大きく3つあります。
それが窒素、リン酸、カリウムの3つです。
たった3つですが、この成分を作るためには、たくさんの原料と、加工にかかる材料が必要です。
例えば窒素肥料を作るには、原油と天然ガスを合成してアンモニアを作ります。
出来たアンモニアをさらに加工して窒素肥料が出来上がるのです。
しかし、これらの肥料の原料になるおおもとの資源は、ほとんど日本国内で手に入ることはなく、外国から輸入してこなくてはならないのです。
特にリン酸は国内生産ができず輸入に依存しているのが現状
特に懸念されているのがリン酸の原料です。
リン酸の原料になっているリン鉱石は、日本では全く手に入りません。
かつてはアメリカからの輸入が多かったのですが、資源の枯渇を危惧したアメリカが輸出に規制をかけてしまいました。
次に日本が頼ったのが中国です。
ですが、中国もやはり資源が限られているので、国内の需要を優先しています。
アメリカでは輸出が制限され中国も行内需要優先で手に入りにくくなっている
資源が枯渇してしまっては、自国民の生活が危ぶまれてしまいます。
なので、当然の処置と言えばそうなのですが、アメリカからのリン鉱石の輸入はなくなってしまいました。
中国も、輸出はまだしているのですが、高い関税を設けています。
中国のほかにも、モロッコやヨルダンなどの複数の国から輸入をしてはいますが、いずれ高い税金をはらう必要が出てくるはずです。
なにせ、リン鉱石が無限に埋蔵されているわけでは、ないのですから。
肥料の値段が高騰しており今後野菜の値段の高騰も予想される
地球に埋蔵された、有限の資源を切り崩しているわけですから、どんどん量が減っていき、それだけ貴重になるのですから、値段が上がっていきます。
もしかすると、そのうちリン鉱石が、ダイヤモンドよりも貴重な鉱石になる未来が、来てしまうかもしれません。
ガソリンの値段が高騰すれば、バスやタクシーの乗車価格が高騰するように。
野菜の肥料の値段が高騰すれば、野菜を作るコストが上がり、野菜の値段が高騰するのは、当然の流れです。
ただでさえ、原油の価格が高騰している現在、野菜を作るのに必要なコストは、ジワジワと上昇してきています。
肥料の値段が上がると、さらに野菜に値段が上乗せされるはずです。
肥料の原料が手に入らなくなれば野菜の生産量が減り輸入だよりになるかもしれない
もしも肥料の原料が手に入らなくなってしまったら。
野菜の栽培にかなりのコストと時間がかかることが予想されます。
化学肥料の特色は、早く安く劇的に野菜の成長に効果を発揮するところにあります。
これまで、大量に安定的に生産されてきた野菜は、数が足りなくなったり、天候や害虫や病気などの自然環境に、出来栄えが左右されるようになると考えられます。
すると、今でさえ天気が悪くなれば、値段が高くなる野菜たちですが、化学肥料がない世界では、もっと桁違いに値段が高騰するかもしれません。
100グラム当たり、ホウレンソウより国産牛肉のほうが安く買える時代が、来るかもしれません。
そうなれば、肥料の原料を自国で賄える、中国やアメリカから野菜を輸入してきた方が、安くお腹を満たすことが出来るようになるはずです。
いまでも、国産の食品より、中国やアメリカの食品のほうが値段が抑えられていたりしますよね。
あの価格差が、今後もっと広がっていくのかもしれません。
これが、
今後ますます野菜の値段が上がり、食料自給率が下がるかもしれない
という理由なのです。
まだまだ日本は、化学肥料に依存した農業が主流です。
ですが、化学肥料がなくても、あるいは使う量を減らしても成り立つ農業を確立できれば、外国の資源に頼らず生活を安定させることが、出来るようになるはずです。
食料自給率と、食品価格の安定。
化学肥料に依存しない、有機農業などの普及や、効率的な農法の開発が、日本の食卓の明るい未来を、守ってていけるのだと思います。