無農薬野菜は安心だと、詳しい話はよくわからないけれど信じている、という消費者の方は多くいらっしゃいます。
でも、実際のところ、農薬を使わずに育てた野菜は、どこがそんなに良いの?
という疑問を、農家の目線から見えた5つの視点からご紹介したいと思います。
- 健康で丈夫な野菜を食べることができる
- 農業従事者の健康被害を減らすことができる
- 環境にやさしい持続可能な農業を実現できる
- 農業の農薬依存化を抑えることができる
- 野菜の農薬残留リスクを抑えることができる
農薬を使わずに野菜を育てる5つのメリットはこんな感じ。
それでは、詳しく説明していきたいと思います。
無農薬野菜にこだわる理由 農薬を使わずに野菜を育てる5つのメリット
ありのファームでは、栽培中にいっさい農薬を使わずに野菜を育てるようにしています。
その理由は、本当に美味しい良い野菜を育てるため。
そして、環境に優しい農業を営むため。
自然と共に歩む菜園というキャッチフレーズを掲げたのは、環境破壊や汚染が進む現在、私たち現代人がより良い未来を、美味しく健やかに目指したいという理念のもと、農業を営んでいきたいと思ったからなのです。
健康で丈夫な野菜を食べることができる
農薬を使う理由は、病気を防いだり治したり、害虫から野菜を守るため。
こうすることで、病気や害虫によって淘汰されるはずだった野菜を守り、安定的に大量生産することが可能になります。
そうなんです。
病気や害虫によって淘汰されるはずだった野菜を、薬の力によって、無理やり健康な状態に引き上げて売り場に並べることができるのです。
つまり、農薬を使うことによって本来自然に淘汰されるはずだった、不健康で軟弱な野菜を手にとることになってしまうリスクが発生するということ。
薬の力によって、元気で新鮮な良い野菜のように見えているかもしれませんが、本当は病気がちで不健康な野菜を、食卓に並べてしまっているのかもしれません。
本当に健康で丈夫な野菜だけを食べたいのなら、農薬を使わず自然に淘汰させ、生き残ったツワモノ野菜だけを収穫することが大切なのです。
農業従事者の健康被害を減らすことができる
農薬は、ちゃんと使用方法を読み、用法容量を厳守していれば、農薬を使って育てた野菜を食べても、体に悪影響が起こることはありません。
これは、国が保証してくれていますので、安心して食べてよろしいかと思います。
ところで、あなたは農薬の使用方法をお読みになったことが、ありますでしょうか?
農業が、キツイ、汚い、危険の3kと呼ばれる所以でもあるのですが、基本的に農薬は劇薬と言って差し支えありません。
ものによっては、使用するにあたって、厳重な注意が必要なものもあります。
誤飲/誤食はもちろんのこと、ちょっと目に入っただけでも危険が伴う場合があります。
使用するために、保護眼鏡、防護マスク、不浸透性手袋、不浸透性防除衣などの厳重装備が必要な農薬も。
うっかり河川や用水路に流れてしまった日には、目も当てられません。
ご家族で農家を営んでいる場合など、子どもさんの手の届く所には絶対置いておけない代物。
農業従事者の健康を害するリスクを減らすために、農薬を使わないという選択は理にかなっているのです。
環境にやさしい持続可能な農業を実現できる
農薬は、病気や害虫を退治する役目を持っています。
もちろん、私たち人間にとっては害虫や病原菌は、外敵であるとみることができます。
しかし地球全体からみれば、それらの存在は自然環境を構成する一部ということができます。
人にとっては邪魔な存在でも、食物連鎖に組み込まれた害虫とされる虫を、生きる糧としていた存在は、農薬によって食べるものがなくなって困っていまいますよね。
人にとっての病原菌は、ほかのナニカにとっては、大好物の菌だったかもしれません。
そして農薬は、害虫や病原菌以外の、虫や菌もいっしょにやっつけてしまうこともあります。
病気や害虫を退治して役目を全うした農薬は、その後どこに行くのでしょう。
畑の土の中に残ってしまったり、地下水に溶け込んで流れ出てしまったり、空や海に流れ着いたかもしれません。
地球環境は人間だけのものではありません。
自然を相手に、人の営みとして農業を続けていくには、自然環境に最大限の配慮が必要であると、常々思っています。
農薬を使わないことで、守れるものがあると確信しているのです。
農業の農薬依存化を抑えることができる
農薬を使い続けると、病原菌や害虫に、農薬に対する耐性がついてしまうということを、ご存じでしょうか。
農薬を使う場合には、同じ薬を使い続けることなく、何種類かの農薬をローテーションして使うことが、推奨されている場合もあります。
農薬に対する耐性をもたれてしまうと、さらなる強力な農薬が必要になります。
年月が経過するごとに、どんどんと強い薬が必要になってしまい、農薬に依存する未来が来る危険性があるのです。
より強い薬は、より強い環境負荷や、人への危険が増えるリスクも強くなります。
農薬の使用を控えることで、農業の農薬依存化を抑えることができるのです。
野菜の農薬残留リスクを抑えることができる
栽培するときに農薬を一切使わないからと言って、野菜から全く農薬成分が検出されないかというと、そうでもないのです。
日本は国土が狭く、畑のすぐ隣には別の農家が運営する畑が存在していたりします。
雨水や地下水、黄砂や風に乗って、農薬成分が流れてくることも十分に考えられます。
ですが、すこしでも野菜の農薬残留のリスクを抑えるためには、自分の畑の作物に対して、農薬を使用を一切しないことが大切です。
やっぱり1番影響があるのは、畑を管理している農家の、栽培方針なのですから。
以上、農家目線で見た無農薬野菜にこだわる理由、農薬を使わずに野菜を育てる5つのメリットをご紹介してきました。
- 健康で丈夫な野菜を食べることができる
- 農業従事者の健康被害を減らすことができる
- 環境にやさしい持続可能な農業を実現できる
- 農業の農薬依存化を抑えることができる
- 野菜の農薬残留リスクを抑えることができる
無農薬野菜は意味ないという意見が出ることがあります。
確かに、食べる人の健康を直接左右するかどうかという点では、意味がないのかもしれません。
しかし、野菜に携わる人や自然環境にとっては、無農薬栽培はとても意味のあるものだと言えます。
人にやさしく、地球にもやさしい。
そんな農業を実現する方法が、無農薬野菜という選択なのです。