スーパーなどの野菜売り場で、無農薬野菜を買おうとしたんだけれど、どこにも売っていない。
という経験ありませんか?
じつは、日本では、無農薬野菜という名前で野菜を売ることが禁止されているんです。
特別栽培農産物に係る表示ガイドラインと呼ばれるルールなのですが、
- 無農薬野菜
- 無化学肥料野菜
- 減農薬野菜
- 減化学肥料野菜
という表示で野菜を売ることはできないと定めています。
では、なぜ禁止されているのでしょうか。
無農薬無化学肥料野菜の販売が法律で禁止されている理由
農林水産省のホームページに掲載されている、特別栽培農産物に係る表示ガイドラインQ&Aによりますと、
この表示から消費者が受け取るイメージは、
「土壌に残留した農薬や周辺ほ場から飛散した農薬を含め、一切の残留農薬を含まない農産物」
と受け取られており、優良誤認を招いておりました。収穫前3年間以上農薬や化学合成肥料を使用せず、
第三者認証・表示規制もあるなど国際基準に準拠した厳しい基準をクリアした「有機」の表示よりも、
優良であると誤認している消費者が6割以上存在する。消費者の正しい理解が得られにくい表示である。
という理由からのようです。
確かに、日本は狭いので、畑のすぐ隣に、別の農家が管理している畑や水田があります。
風や雨などの自然現象によって、農薬成分が運ばれてきても不思議ではありませんよね。
もしかすると、地下水や黄砂などの影響で、ずっと遠くから運ばれてきているかもしれません。
一切の残留農薬を含まない農産物というのは、屋外で畑を運営しているだけでは、実現不可能なのかもしれません。
それこそ、周りの海に人っ子一人存在していないような無人島で、一人で畑を管理できれば実現可能かもしれませんが、現実的ではありませんよね。
では、私のように、作物を育てるときに、農薬を使わずに育てている農家の場合、どのように表示したらよいのでしょうか。
無農薬ではなく「農薬:栽培期間中不使用」と表示する
無農薬野菜ではなく、農薬を使用していない農産物には「農薬:栽培期間中不使用」と表示するとルールには書かれていました。
化学肥料を使っていない場合には、「化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用」と表示するようにとのこと。
そもそもこのガイドラインは、野菜を、実際よりも優良であると消費者に誤認させるような表現を使うことを禁じたもの。
ですので、しっかりと具体的に、どのように農薬を取り扱っているかを表示するか、ということが大切になっているのです。
- 「農薬:栽培期間中不使用」
- 農薬未使用
- 農薬無散布
- 農薬を使っていません
このような表現であれば、消費者に誤解を与えず、特別な栽培方法で野菜を育てているということが正確に伝わるので、利用が認められています。
有機野菜と特別栽培農産物
このように、
- 農薬の使用回数が、その作物が栽培された地域で通常使用されている量の半分以下
- 化学肥料の使用量(窒素成分量で計算)が、その作物が栽培された地域で通常使用されている量の半分以下
である場合、特別栽培農産物として販売することができるとされています。
有機野菜は、農薬の使用が、条件付きですが許可されています。
農薬を使わずに育てた野菜を手に入れたい場合は、有機野菜では不安が残りますよね。
特別栽培農産物では、「農薬:栽培期間中不使用」という表示がされていれば農薬の使用に関しては安心できます。
しかし、化学肥料の使用量(窒素成分量で計算)が、その作物が栽培された地域で通常使用されている量の半分以下
とあるように、窒素成分以外の化学肥料の使用については、言及されていません。
「化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用」という表示がされていても、窒素成分以外の化学肥料の使用については保証されていないのです。
農薬も嫌だけど、化学肥料も嫌だなというときは、どうしたらいいのでしょうか。
農薬と化学肥料が使われていない野菜を手に入れるなら農家と直接話そう
野菜がどうやって育てられてきたのか。
それを知るには、直接野菜を育てた農家さんに話を聞いてみるのが一番です。
直売所や野菜マルシェなど、直接野菜を対面で販売しているお店に行く機会があれば、ぜひともお店の方にお話を聞いてみるのがおススメです。
農家は野菜を、まるで自分の子どものように愛情と情熱をこめ育てています。
なので、あなたに野菜のことを聞かれると、とてもうれしく思うはずです。
なぜなら、自分の育てた自慢の野菜を、ひとりでも多くの方に知ってもらいたいから。
一人でも多くの方にお届けして、美味しいって喜んでもらいたいから。
大丈夫です。
安心して、話しかけてみてください。
きっと、にこやかに対応してくれるはずです。