畑に生えた、ピンク色の花を咲かせる冬寒い時期の雑草の名前を調べてみると、シソ科のホトケノザという名前だということがわかりました。
しかし、春の七草で有名なホトケノザとは全くの別物。
七草のホトケノザはキク科で、コオニタビラコというのが本当の名前なんだそう。
でも、本来のホトケノザは、花の蜜が美味しいし、苦み成分は漢方薬としても親しまれていて、土が豊かでないと生えてこないことから、畑が肥えた良い土の印なんです。
ホトケノザは自然に豊かになった土に生息する
こちらの写真は、ありのファームの畑の様子です。
通りがかった人からみたら、
なんだこの雑草だらけのだらしない畑は!
と指をさされて笑われそうな状態ですが、私にとっては、とっても理想的な畑の状態だったりするのです。
なぜなら、ホトケノザが生えている畑は、土がとても肥沃であることが多いから。
畑が有機質に富んでいて、野菜を育てるのに理想的な環境が整っている指標としてホトケノザを見ているから、むしろ生えてきてくれて有難うと感謝しているくらいなのです。
背の低い花を咲かせる雑草は豊かな土地に根付いている
雑草の特性として、
- 背が低い
- 花を咲かせる
- マメ科とキク科を除く
こういう特徴を持っている雑草が生えている土地は、肥沃に富んでいることが多いと感じています。
自然環境が厳しい土地だと、背が低かったり、線が細かったりすると、とても健康に育つことって難しいと思うんです。
綺麗な花を咲かせるためには栄養が必要ですし、花を咲かせた後は種を作りますから、それにも栄養が必要。
なので、花をたくさん咲かせる雑草は、それだけ肥沃な土地でないと、生きていけないのです。
マメ科とキク科を除くとしたのは、両者ともに厳しい環境でも、それなりに反映することが出来るから。
マメ科は、根粒菌と呼ばれる、空気中の窒素を固定する細菌と共生しており、土が肥えてなくても自給自足が可能です。
キク科は、タンポポに代表されるように、とても屈強で、むしろ土が荒れていたほうが良く見られる気がします。
そういうわけで、背が低く、花を咲かせる、シソ科のホトケノザは、畑の土が豊かな印、という風に考えています。
ホトケノザを抜いてはいけない
ホトケノザは、抜いてはいけない雑草です。
なぜなら、
- 野菜の生長の邪魔にならない
- 他の雑草の生長を抑えてくれる
- 微生物の活動を促している
という特徴を持っているから。
野菜の生長の邪魔にならない
ホトケノザは、他の雑草に比べて成長スピードが緩やかです。
茎や葉が旺盛に茂ったり、根が広がりやすかったり、背が高くなったりということが無いので、他の野菜の生長の妨げになりにくいのです。
なので、雑草として刈り取る労力を、わざわざ使う必要はないということになるのです。
他の雑草の生長を抑えてくれる
ホトケノザが生えている場所は、他の雑草の生長を抑えてくれる効果が期待できます。
そもそも雑草が成長するには、光合成をするために日光を浴びる必要があります。
しかし、すでにホトケノザが大きく茂っていると、他の雑草に必要な日光を遮ってくれるので、生長することが難しくなるというワケなのです。
微生物の活動を促している
ホトケノザは、根があまり大きく生長しません。
それにもかかわらず、大きく茂り花を咲かせることができる。
この理由は、地中にいる微生物が豊富にそろっており、なおかつ微生物との共生関係をうまく結ぶことによって、生長の助けとしているから。
なので、ホトケノザを畑に残しておくということは、それだけ微生物の活動を促すことにつながり、より豊かな土へと導いてくれる効果が期待できるのです。
邪魔な場合は根を残して地上部だけを刈り取る
ホトケノザが育っているだけで、土が豊かになり、他の雑草の発生を抑えてくれる。
それでも、新しく野菜を植えたい場合など、どうしても場所を譲ってもらいたい場合は、根っこを残したまま、地上部だけ刈り取ることをお勧めします。
そうすることで、微生物の暮らしを守りつつ、種や苗を植えることが可能になるので、豊かな畑の土にかける負担を最小限抑えることが出来ます。
雑草とは、人の管理下に置く土地に生え、悪影響を及ぼす植物のことをさすことが多いです。
農家的には、栽培している作物以外の無用な、あるいは有害な植物を、雑草として扱います。
ですが、私が実践している自然農という栽培では、雑草を敵としないという理念があり、雑草と共存共栄していくことが理想とされています。
つまり、栽培している作物以外の、有益な植物ということになり、雑草ではない、と考えます。
なので、道行く方に、雑草だらけのだらしない畑だと言われた時には、
これは雑草ではありません。私が育てているホトケノザです。
と答えることになるのではないでしょうか。