ありのファームでは、畑を耕さずに野菜を育てています。
この畑を耕さずに野菜を栽培することを、不耕起栽培と呼んでいます。
ですが通常の農法では、まず畑を綺麗に耕してから、種や苗を植えて育てていくのが一般的です。
ではなぜ不耕起栽培を選択したのかと言いますと、
- コストがかからない
- 作物が良く育つようになる
- 地球温暖化防止に貢献できる
という3つのメリットが得られるからです。
この記事では、不耕起栽培をするだけで何故このようなメリットを享受することが出来るのか、お話したいと思います。
畑の土を耕さずに野菜を育てる不耕起栽培のメリット3つ
畑で野菜を育てると言ったら、まずは畑を耕すことを想像する方が多いと思います。
確かに、初めて畑にやってきた時は、野菜を育てる畝を作るために、最初だけ土を耕して地面を整えます。
しかし不耕起栽培では、次回以降は畑の土を耕すことはなく、畝もずっと使いまわして、野菜を栽培していきます。
こうするだけで、とても素晴らしい自然の恩恵を受けることが出来るようになります。
野菜を育てるのにコストがかからない
まず初めに感じるのが、労力を減らすことが出来るというメリットです。
畑を耕すという作業は、かなりの重労働です。
重い鍬をふり、硬くなった土を掘り起こし、畝を積み上げ、表面を平らにならす。
一つ畝をつくるだけで、どっと汗が出てきます。
広い畑では、とても一人でできる作業ではありません。
もっと広い広大な畑では、人力ではなくトラクターなどの大規模な農耕器具が必要になるでしょう。
それも、野菜を育てる前に、毎回畑を耕す作業が必要になります。
不耕起栽培を取り入れることで、毎回ひつような耕すという作業が、最初の一回だけで済むようになります。
これは、人件費はもちろんのこと、トラクターなどの購入費やメンテナンスと燃料などに必要な経費も、大幅にカットすることが出来ます。
野菜を育てるコストを、大きく削減できるようになるのです。
不耕起栽培をすることで野菜が良く育つようになる
不耕起栽培を取り入れることで、野菜が良く育つようになります。
不耕起栽培を行うことで、
- 土が豊かになる
- 悪天候に強くなる
- 病害虫被害に強くなる
という変化をもたらすからです。
土が豊かになる
不耕起栽培を行うと土壌が改善されます。
土を耕さないことで、土表面には落ち葉や枯れ枝などの、植物残渣が残されます。
この植物残渣は有機物に富んでいて、ミミズやクモなどの目に見える生き物だけではなく、細菌などの目に見えない微生物の住みかにもなります。
こういった土壌生物たちの数と種類が増え多様性に富んでくると、有機物の分解が進み土が肥沃になり、土壌の団粒化も進んできます。
そうした結果、植物が育ちやすい豊かな土に育っていくのです。
反対に、土を耕すとどうなるのでしょうか。
土の表面には植物残渣がのこらず、土が丸裸で見えている状態になります。
こうなると、雨や風で風化してしまい、土が固くなったり、団粒化が進まずサラサラな砂浜のような土になってしまいます。
また、土を耕すことで、土の奥の方まで空気にさらされます。
土が空気に触れることで、微生物の動きが活発になり、有機質が分解されやすくなり、一時的にではありますが植物が良く育つようになります。
短期的には良いのですが、長期的に見ればマイナス。
植物残渣もなく土壌生物群も住み着けない土が丸見えの畑では、野菜などの作物が有機質を使い切り、どんどん痩せていくようになるのです。
もちろん有機質の層はありませんし、それに伴って土壌生物群も少ないため、土の状態が自然に良くなることはありません。
悪天候に強くなる
不耕起栽培を行うことで、日照りや豪雨に強くなります。
不耕起栽培を行っていると、地表面には有機質に富んだ落ち葉などの植物残渣が残っており、地表面を覆っています。
地表面を覆っていることで、ちょうど食品用ラップや美容パックのような役目を担い、畑の土を乾燥から守ってくれるので、日照りに強くなります。
枯葉などの有機質に富んだ層は、虫や微生物などの土壌生物群の住みかとなり、活動が活発になります。
土壌生物群の活動が活発になることで、土壌の団粒化が促進され、土の通気性と透水性が向上するので、豪雨に強くなるのです。
団粒化と団粒構造
団粒化とは、土の粒どうしがくっつきあい、小さな団粒状態(お団子のような状態)になること
団粒構造とは、大きさの異なる団粒が集まった状態のことを言います。
団粒の反対の状態を単粒と呼び、単粒は細かな土の粒がバラバラで、粘土や砂などを単粒構造と表現します。
ちょうど、瓶詰のお砂糖でいうと、
- 粉砂糖が単粒構造
- 大きさの違う角砂糖が団粒構造
と例えると、想像しやすいかなと思います。
病害虫被害に強くなる
不耕起栽培を行うことで、野菜を病害虫被害から守ってくれます。
有機物に富む植物残渣があることで、虫や微生物などの土壌生物群が住みやすくなることで、生物に多様性が生まれます。
多様性が生まれることで、害虫だけが増えるのではなく、害虫を餌にする益虫も増えるので、害虫被害を抑えることが出来るようになるのです。
また、病原菌に関しても同様のことが言えます。
病原菌だけではなく、それを捕食する菌や虫などの微生物も同時に増えるので、特定の病気だけが爆発的に広がることを抑制してくれます。
その結果、不耕起栽培を行うことで、病害虫被害に強くなるのです。
不耕起栽培を行うことで地球温暖化防止に貢献できる
不耕起栽培を行うことで、地球温暖化防止に貢献できます。
1つ目のメリットで少しお話したのですが、大規模な畑を耕すためには、どうしても機械の力を頼らなければなりません。
農耕器具を使うと、ガソリンや電気の力がたくさん必要になります。
これらを使うときにはもれなく、環境汚染や温暖化の原因とされている二酸化炭素を排出します。
そのため、農耕器具を使わない不耕起栽培を行うことは、地球環境保全に貢献できるのです。
意外と知られていませんが、土を耕すだけでも、二酸化炭素が発生します。
土壌に含まれていた炭素が、耕されることによって空気に触れ、空気中に存在する酸素と結合して、二酸化炭素が生じるという仕組み。
そもそもどうして、土壌に炭素が含まれているのでしょうか?
それは、植物が光合成によって、空気中の二酸化炭素を吸収して生きているから。
植物が二酸化炭素を吸収して、生命を全うして土に還るとき、土壌に炭素が溜まっていくのです。
なので、土を耕さずにいるだけで、土壌炭素を保持することができ、地球温暖化防止に貢献できるのです。
以上、畑の土を耕さずに野菜を育てる不耕起栽培のメリット3つについてお話してきました。
- コストがかからない
- 作物が良く育つようになる
- 地球温暖化防止に貢献できる
労力がかからず人にやさしい
植物が良く育つようになり野菜にやさしい
地球環境を保全でき地球にやさしい
人類の歴史を紐解いてみると、農業が始まったころからずっと、土を耕すことが当たり前でした。
しかし近年、土を耕すことで起こる問題や、土を耕さないことで得られる恩恵に注目する動きが、世界中で見られるようになってきました。
SDGsなど、地球環境に寄り添った農業が、これからの時代には求められると感じています。