野菜が生長するには、土の中に肥料成分が必要です。
ですが、肥料のやりすぎは野菜の味を損なうだけではなく、私たち人間の健康面にも害を及ぼすリスクがあるのです。
- 肥料のやりすぎで野菜に苦みやえぐみが出る
- 肥料のやりすぎで健康への悪影響が懸念されている
- 肥料のやりすぎで病害虫リスクが上がり農薬が必要になる
特に、化学肥料のような即効性があり効力も高い肥料を野菜に使うことで、こういったリスクが跳ね上がることが知られています。
有機肥料であっても例外ではありません。
肥料のやりすぎは、野菜にとっても人にとっても、良くない影響を与えてしまうのです。
では肥料を一切使わずに野菜を育てるとどうなるのでしょうか?
野菜の苦みがえぐみがなくなり、健康を害するリスクが抑えられ、農薬も必要なくなる。
それだけではありません。
肥料を与えずに育てるだけで野菜は本来の姿を取り戻し、とても美味しく健康的に育つようになるのです。
野菜を無肥料で栽培すると美味しい野菜に育つ理由
なぜ肥料を与えずに育てると、野菜が美味しく育つのでしょうか。
その理由は、細胞の大きさと密度に関係していると考えています。
植物が、種から芽を出し成長していく。
この現象は、種に詰まった植物の元となる細胞が、細胞分裂を繰り返して増殖していき、姿かたちを大きく変えていくことで起こっています。
肥料を与えた場合に植物の成長が著しくなっているように見えますが、これは細胞分裂のスピードが加速して細胞の増殖が強化されているわけではなく、作られる細胞ひとつひとつの大きさが増加しているにすぎません。
人間で例えるとわかりやすいです。
いくら栄養豊富な食事を多量に与えたとしても、子どもが大人の体へと成長するスピードが速くなるわけではありません。
どんなに頑張っても、体の大きな子どものままです。
逆に、細胞分裂のスピードが増強されると仮定するならば、それに伴って老化するスピードも速くなっていなければ説明がつきませんよね。
どんなに栄養を完璧に与えていたとしても、肉体は20代半ばをピークに少しずつ老化していくのです。
これが、栄養によって細胞分裂のスピードが速くなるわけではなく、細胞一つ一つの大きさだけが増大すると考える理由です。
さて、細胞分裂のスピードが増強されるのではなく、細胞単位の大きさが増強されるとどうなるのでしょうか。
細胞が大きくなってしまうと、同じ大きさの野菜を食べ比べてみた時に、味が薄くなってしまうという現象が起こります。
同じ大きさの野菜を比べてみると、細胞の大きい方が含まれている細胞自体の数は減ります。
逆に、ひとつひとつの細胞が小さい野菜のほうが、野菜の大きさが同じであるのならば、含まれている細胞の数は多くなるはず。
つまり、細胞の密度が違うのです。
肥料を与えてしまうと、野菜の細胞が大きくなる代わりに密度が減る。
逆に肥料を与えないと、野菜の細胞が小さいが密度が高くなる。
写真に例えるとわかりやすいでしょうか。
デジタルカメラなどで撮影した写真は、画素(ピクセル)と呼ばれる細かな小さい色のついた点の集まりで、景色を再現しています。
写真を野菜、画素を細胞と置き換えてみると、画素数が小さくて多い方が鮮明に景色を再現できますよね。
野菜の細胞も、小さくてたくさん入っている、密度の高いものほど野菜本来の味と香りを鮮明に引き出してくれるのです。
有機肥料をたくさん施したオーガニック野菜も美味しいですよね?
じゃあ、有機肥料をつかったオーガニック野菜は不味いのか。
甘くて、味が濃くて、美味しい野菜じゃないですか。
はい、有機野菜は味が濃くて甘くて、美味しいと感じる方も多くいらっしゃることは理解しています。
ですが、その美味しい味は、野菜本来の味なのですか?
有機肥料の味なのではないですか?
というのが、私の考えです。
といいますのも、有機野菜はどんな野菜であっても、味が濃くて甘みが強いのです。
どんな野菜であってでも、です。
本来野菜は、酸味のあるもの、味がスッキリと爽やかなもの、苦みが特徴的なものなど、様々です。
人にも十人十色という言葉があるように、皆が個性豊かだから楽しく幸せな暮らしを享受できていると考えていますし、野菜も本来そうであるのが自然であるはずで、そうであるからこそ食卓の味覚が豊かで幸せなのです。
ずっと同じ味付けの料理が続けば飽きが来ます。
甘くて濃厚ということは、そのぶんカロリーや糖分も多いという事。
健康にもよろしくないですよね。
甘くて濃厚な野菜がお好きならば、有機農家の野菜宅配サービスを。
野菜本来の味や香りを楽しみたいならば、肥料の使用は可能な限り控えている、ありのファームの野菜宅配サービスをお勧めします。
肥料のやりすぎで野菜に苦みやえぐみが出る
植物の生長は、光合成によって生成した糖分と、根から吸収した肥料成分とを組み合わせ、たんぱく質を生成して体を作るという仕組みです。
この時、肥料のやりすぎで根から大量の肥料成分を吸収してしまうと、使い切れない分は細胞の中に蓄えられていきます。
この蓄えられた肥料成分が、野菜の苦みやえぐみを生み出してしまうのです。
こうした結果、肥料のやりすぎで野菜は美味しくない、という現象を生み出します。
肥料のやりすぎで健康への悪影響が懸念されている
植物の生長は、光合成によって生成した糖分と、根から吸収した肥料成分とを組み合わせ、たんぱく質を生成して体を作るという仕組みです。
この肥料成分の正体は、硝酸態窒素。硝酸塩や硝酸イオンと呼ばれることもあります。
この成分が、人体に入ることで消化吸収を経て、体の健康に影響を与えることが懸念されています。
オーガニック先進国のヨーロッパなどでは、すでに硝酸態窒素にたいする規制がなされており、国が先導して厳しくチェックしているところもあります。
つまり、肥料を与えすぎた野菜というのは、私たちの体に悪影響を及ぼすリスクがあるということなのです。
農林水産省のホームページでも解説がされていますので、気になる方は一度チェックしてみることをお勧めします。
肥料のやりすぎで病害虫リスクが上がり農薬が必要になる
肥料の与えすぎは、病害虫リスクを上昇させてしまうというデメリットがあります。
先ほど、肥料を与えることで細胞一つ一つが大きくなるという話をしました。
そうすると細胞が膨らんでしまい、細胞を守る働きを担う細胞壁が薄く延ばされて脆くなってしまうという理屈で、病害虫に対する抵抗力が低くなってしまうのです。
詳しくは下のページにて解説しています。
以上、野菜を無肥料で栽培すると美味しく体にも良い野菜になる理由についてお話してきました。
肥料を与えないことで、得られるメリットはとても多く、無肥料栽培が理想的であると考えています。
ですが、それではどうしても土の中の栄養が不足し、野菜の生長が不可能になる場合があります。
その時は、補いとして米ぬかを少量、野菜の周りの土に振りかけています。
ありのファームでは、必要最低限の施肥に抑えることで野菜本来の味と香りを引き出し、健康にも自然にも優しい野菜作りを心掛けています。