有機農家とオーガニック野菜

化学肥料3つのデメリット 人体への影響と土壌劣化と害虫問題

化学肥料を使って野菜を作ると良くない、とよく聞くけれど、具体的にどんなデメリットがあるのでしょうか。

  • 化学肥料はなんだかよくないイメージがある
  • 具体的にどんなデメリットがあるのか知りたい
  • 農家は良くないと知っているのに、なぜ化学肥料はなくならないんだろう

化学肥料に対して、このような疑問を持っているあなたに、農家目線で化学肥料のデメリットを3つご紹介したいと思います。

化学肥料のデメリットを3つ
  • 人体への悪影響が懸念されるから
  • 化学肥料を使うことで土が痩せてしまうから
  • 化学肥料を使うと害虫被害にあいやすくなり農薬が必要になるから

化学肥料をつかって野菜を作ると、このような3つのデメリットが発生します。

どういった仕組みで、このような現象が起こってしまうのでしょうか。

化学肥料3つのデメリット 人体への影響と土壌劣化と害虫問題がおこるワケ

化学肥料とは、空気中の窒素や地下に埋まっている鉱石などを原料に、化学合成して作られた肥料のことを言います。

水に溶けることで植物は吸収可能になるので、即効性があり、人間に例えるとサプリメントのようであると表現されることが多いです。

それに対して有機肥料は、油粕や米ぬかなどの植物性、あるいは牛糞や鶏糞などの動物性の有機物を原料に作られる肥料のこと。

虫や菌類などの微生物によって分解されることで、はじめて植物が吸収することができるようになります。

そのため即効性はありませんが、効果に持続力があるのが特徴で、人間に例えると普通の食事のようなものであると表現されます。

こう聞くと、化学肥料だけで野菜を育てるということは、サプリメントだけで生活している人間と言い換えることができます。

なんだか、もうすでに、あんまり良くなさそうな雰囲気がしてきませんか?

化学肥料のデメリットは人体への悪影響が懸念されるから

化学肥料は効力が高く、即効性もあるので植物への効きがよく、有機肥料と比較すると安価であることも重なって、手軽に大量にまくことができます。

化学肥料の成分が、早く安く強く植物に吸収されるということは、一見よく見えるかもしれません。

ですが、植物が土から栄養を吸収しすぎてしまうと、人体への悪影響を及ぼす化学物質が蓄積されてしまうのです。

その危険な化学物質を硝酸態窒素といい、硝酸塩や硝酸イオンとも呼ばれています。

海外では死亡例もでたことがあり、厳しく規制されている国があるほど。

日本の農林水産省のホームページでも、特設ページが作られており、食意識の高い消費者の間では問題視されている物質です。

野菜等の硝酸塩に関する情報

化学肥料のデメリットは土が痩せるから 土壌劣化と環境問題

化学肥料を使わない普通の場所では、通常土の中でミミズやカビ菌類などの微生物たちが、自然のままに暮らしています。

その場所に生えている植物たちは、光合成で作った糖分と、微生物が作る肥料分とを交換して、共生関係を築いています。

植物が枯れたり、成長していく過程ででた落ち葉や枯れ枝を餌に、微生物が増え、微生物が分解した落ち葉などを栄養源にして植物が成長する…

こうした具合で、自然で理想的な循環と共生関係が形成されています。

しかし、化学肥料を大量に使う場所では一転、土の砂漠化が進みます。

そもそも化学肥料に含まれる物質は、微生物たちにとっては猛毒です。

さらに、化学肥料を与えると、水に溶けるだけで植物は栄養が吸収でき成長できるので、微生物たちに光合成で得た栄養を、与える必要がなくなります。

その結果、猛毒と、飢餓で、微生物たちはいなくなってしまいます。

微生物がいなくなることで、土の中で栄養分をつくる存在が消滅し、本当に土しかない、砂漠のようなサラサラの土壌になってしまうのです。

畑の土を想像してみてください。

どのような土を連想しますか?

触るとふわふわで、土を握ってみるとお団子状になるけれど、つつくとホロッと崩れるような土でしょうか。

化学肥料をたくさん使っている畑の土は、本当にサラサラ。

砂場や海岸の砂のようです。

風が吹くと砂埃が舞い上がり、野菜のほかに生えている草は無い。

ここは日本であるはずなのに、砂漠の真ん中に生えたサボテンのような、なんとも不思議な光景が広がっているのです。

最近では、化学肥料と地球温暖化の関連についても問題視されるようになってきました。

詳しくは、こちらのページで解説しています。

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化学肥料を使うと害虫被害にあいやすくなり農薬が必要になる

化学肥料を使うデメリットの3つめは、化学肥料をつかうと、害虫被害にあいやすくなるからです。

野菜がつちから栄養を吸収し過ぎると、化学物質が蓄積されていきます。

硝酸窒素態というのですが、これ実は人体には悪影響が懸念されてはいるのですが、害虫にはとっておきのご馳走なんです。

詳しくは、こちらの記事で解説していますので、興味のある方はご覧ください。

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以上、化学肥料3つのデメリット 人体への影響と土壌劣化と害虫問題についてお話してきました。

このような理由から、わたしの畑では、一切化学肥料を使わずに野菜を育てています。

では、なぜ化学肥料はなくならないのでしょうか?

化学肥料がなくならないのは現代社会に必要不可欠だから

なぜ化学肥料はなくならないのか?

それは、化学肥料を使うことで、野菜を安定的に大量に作ることができるから。

  • 農業従事者の減少と高齢化
  • 都市部への人口一極集中
  • 外食産業の発展

などなど、要因はさまざまですが、現代社会において、安定的に大量の野菜を作る必要があるのです。

なので、デメリットを理解しつつも、農家は暮らしと社会のために化学肥料を使うことを辞めるわけにはいかないのです。

ABOUT ME
のっち
のっち
私は、鹿児島県志布志市にある畑で営農している個人農家です。 無農薬、無肥料、不耕起、無除草栽培で、安心安全で美味しい野菜は当たり前、環境にも優しい農業を目指しています。