子どもが野菜を食べなくて困っている、という家族の声をよく聞きます。
成長に大切な栄養がたくさん入っている野菜は体にいいから、ぜひとも苦手を克服してもらいたいのに。
なぜ食べてくれないのか。
その理由は、たったひとつです。
- 野菜が美味しくないから
たったこれだけなのです。
子どもが野菜を食べない理由は美味しくないから 酸味と苦みが苦手な理由
かくいう私も、農業に携わっているのに、苦手な野菜があります。
それはジャガイモとラッキョウ。
ジャガイモは食べた後に、舌と喉がピリピリするのが苦手。
ラッキョウは臭いが苦手で、別室で家族の誰かが食べているだけで、ウワーッてなります。
成人した大人でもこうなのですから、子どもに苦手な野菜があるのは、ある意味当然なのかもしれません。
野菜が美味しく感じない理由は酸味と苦み
子どもの味覚というのは、大人よりも敏感です。
舌には、味覚を感じとるセンサー、味蕾(みらい)という器官があるのをご存じでしょうか。
この味蕾という器官、乳幼児期にはおよそ1万個ほど存在しているのですが、加齢とともに減少することがわかっています。
なので、子どものころは、特に味覚に敏感にできているのです。
味覚には大きく5種類ほどあり、甘み/塩味/旨味/酸味/苦み、といったぐあいに大雑把に5つに分類して感じるようになっています。
そのなかで、酸味は食べ物がまだ未熟であったり、逆に腐っているときに感じる感覚。
苦みは、食べ物が毒性を持っていた時に感覚として、脳に本能としてインプットされていると考えられています。
つまり、酸味や苦みが強い野菜は、味覚が敏感な子どもには、とても美味しいとは感じることが、出来ないといえます。
なにしろ、腐った毒物の味なのですから。
あなたにもありませんか?
子どものころは、とても食べらなかったけれど、大人になってからはなぜか食べられるようになった野菜。
味蕾の減少によって、味覚がマイルドになり、許容できる範囲が広がったからなのかもしれません。
子どもの野菜嫌いは、しごく当然のことと言えるのかもしれませんね。
野菜が美味しく感じないのは香りが原因
苦手な野菜は、なにも味覚によるものだけとは限りません。
私の場合は、ラッキョウがそれにあたります。
味の方は、特別嫌悪感があるわけではなく、風邪をひいて鼻が詰まっているのであれば、たぶん食べることは可能だと思います。
その他に臭いが特徴的な野菜としては、春菊やパセリ、ピーマンなどがあげられるでしょうか。
これらの臭いが苦手な野菜は、自分が食べるのも嫌ですが、食卓に出されて家族が隣で食べているのも、正直苦手に思っています。
香りの少ない品種を選んだり、他のハーブやスパイスなどを利用して、臭いへの抵抗を薄めてあげるなどの対策をしてあげると、良い方向に進むかもしれません。
野菜が美味しく感じないのは見た目が原因
野菜の味や臭いが原因でないのなら、見た目が原因かもしれません。
特に子どもが小さい頃は、初めて見るものに対して、ある程度の警戒と言いますか恐怖心を抱くケースが、多くあります。
食べなれないものや、初めて出された野菜を前にすると、嫌がってしまう。
新奇恐怖(ネオフォビア)と呼ばれる現象なのですが、これは人間が生き残るための本能。
初めて見たものを、本当に食べても大丈夫なのか、毒や病気が潜んでいるのではないかと警戒しているのです。
対策は、おうちの方などの信頼関係を結んでいる、ごく親しい人が美味しそうに食べているところを見せる、ということです。
また、子どもが成長する過程で、自然と克服することができる症状なので、無理強いすることなく、焦らずゆっくり見守るようにしてあげてください。
野菜の見た目を良くする工夫としては、
- 野菜をハートや星マークなどの可愛い形へ、飾り切りにして盛り付けを工夫する。
- ケチャップやソースなどで絵をかき、子どもと楽しく食べられる工夫をする。
- お皿や食器類を、子どもの好きなデザインやキャラクターものにする。
という方法もあります。
野菜が美味しく感じないのは食感が苦手だから
苦手な野菜は、口に入れた時に食感が悪く、嫌な感じがするのかもしれません。
食感については、サラダが苦手な子どもには、しっかりと火を通して柔らかくしてから、食べてもらえるように工夫する。
逆に柔らかい食感が苦手な場合は、サラダにしてだしたり、揚げ物でカリっとした食感で食べられるよう、調理を工夫してみてください。
ちなみに私の場合でいうと、ジャガイモはフライドポテトやポテトチップなど、揚げ物に調理してから食べると、不思議と平気です。
なかには、トマトは駄目だけどケチャップは好きな方や、卵焼きは嫌いだけど茹で卵は好きという方など、調理法次第でたべられるようになるケースが良くあります。
以上、子どもが野菜を食べない理由は美味しくないから についてお話させていただきました。
一番大切なのは、子どもに無理強いしないこと!
野菜は子どもの健やかな成長にとって必要不可欠なものです。
だからといって、無理に食べさせてしまって、それが原因で野菜のことが嫌いになってしまっては、元も子もありません。
何より大切なのは、子ども自身に、自分から野菜を好きになってもらう工夫なのです。
子どもにそれぞれ個性があるように、ひとりひとりが野菜を苦手にしている理由は千差万別。
子どもと良くお話したり、様子をじっくり観察したり、どうしてその野菜が苦手なのかを理解のが、子どもの野菜嫌い克服への最初の一歩です。
- 酸味や苦みの少ない野菜料理を出す
- 苦手な臭いがしない工夫をする
- 見た目を盛り付けなどで工夫する
- 食感を調理法で工夫する
あなたのお子さんの個性にあった、対策方法を見つける手掛かりにしてください。