野菜と子ども

子どもが野菜嫌いなのは若いから説 ファイトケミカルと活性酸素

あなたは子どもの頃は苦手で食べられなかった野菜が、大人になってなぜか好きになったという経験はありませんか?

それは、野菜に含まれるファイトケミカルと呼ばれる抗酸化物質が原因だったのかもしれません。

ファイトケミカルと呼ばれる抗酸化物質。これらは野菜に限らず多くの植物がもつ物質で、アントシアニンやリコピンやポリフェノールと呼ばれる色素が有名です。

ファイトケミカルは植物が紫外線や害虫、病気などから自分自身を守るため作り出した天然の毒であり農薬でもあり、

  • 色素成分
  • 香り成分
  • 辛み成分
  • 苦み成分
  • 粘り気成分

など種類は様々ありますが、野菜以外にも果物や海藻など多くの植物には何かしらのファイトケミカルが含まれています。

ファイトケミカルは自分を守るための天然の毒であり農薬でもあるので、味覚が敏感な子どもが苦手意識を持ってしまうという事になっているのではないかという説があるのです。

舌には、味覚を感じとるセンサー、味蕾(みらい)という器官があるのをご存じでしょうか。この味蕾という器官、乳幼児期にはおよそ1万個ほど存在しているのですが、加齢とともに減少することがわかっています。

そのため、年を重ねていくごとに苦手だった野菜の味や香りをあまり感じなくなり、食べられるようになるのではないかと考えられています。

子どもが野菜を食べない理由は美味しくないから 酸味と苦みが苦手な理由子どもが野菜を食べなくて困っている、という家族の声をよく聞きます。 成長に大切な栄養がたくさん入っている野菜は体にいいから...

加齢によりファイトケミカルで活性酸素を抑える必要が出てくる

活性酸素という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

活性酸素とは、体の細胞を酸化させて機能を失わせる物質で、私たちの老化と密接に関係しています。

若いうちは、活性酸素に対抗するための抗酸化物質を自分自身で作り出すことが出来ているのですが、年齢を重ねるごとにその力は衰え、だいたい40代ころを境に一気に抗酸化力が失われていくと考えられています。

人と活性酸素とは、車と排気ガスのような関係でしょうか。私たち人間が、日々生きていく中で体の中で行われている様々な活動によって排出されています。

呼吸や、ホルモン分泌などといった、生きていくうえで必要な活動の他に、

  • 飲酒
  • 喫煙
  • 紫外線
  • ストレス
  • 激しい運動
  • 食品添加物や加工食品を食べる

といったことが原因で活性酸素が発生してしまいます。

これらの活性酸素と闘ってくれるのが抗酸化物質。

植物に備わる抗酸化物質であるファイトケミカルは、加齢によって自分自身で賄えなくなった抗酸化物質を食事で補う手段として有効なのです。

逆に考えてみると子どもは若く、老化よりもむしろ成長と呼べるでしょうし、自前の抗酸化物質によって老化の心配がありませんから、ファイトケミカルは必要ありません。

だから本能的にファイトケミカルが豊富な、苦みや辛味や香りの強い野菜を食べないようにしているのかもしれません。

抗酸化物質としてのファイトケミカルが必要ないということは、天然の毒であり農薬でもあるファイトケミカルを食べるメリットがありませんから。

ファイトケミカルは安全なのか

抗酸化物質ファイトケミカルは、天然の毒であり農薬でもある。

こう書いてしまうと、なんだか危険な香りが漂ってきます。

ファイトケミカルは本当に安全なのか。

結論から申し上げますと、適量を守れば安全です。

毎日の食事で食べても、食べ過ぎなければ安全です。

どんな食品でもそうですが、食べ過ぎは体に毒。

一度にたくさんとりすぎると体に悪いのはなんにでも言えることで、水ですら水中毒という症状が起きますし、空気でさえ吸い込み過ぎると不調をきたします。

常識の範囲内で、バランスの良い食生活を心がけておけば、基本的に安心です。

もちろん、アレルギーやどうしても食べられない苦手なものがある場合など、個人差は避けられないところでもあるので、一人一人に合った最適な食生活というものを、あなた自身で見つけていただくことが、安全安心な食生活をおくるうえで最も大切なのは言うまでもありません。

ABOUT ME
のっち
のっち
私は、鹿児島県志布志市にある畑で営農している個人農家です。 無農薬、無肥料、不耕起、無除草栽培で、安心安全で美味しい野菜は当たり前、環境にも優しい農業を目指しています。